【体験者が語る】ヘルパーの仕事を辞めたくなる5つの理由&対処法
現在、わが国には介護サービスの必要な高齢者がたくさんいらっしゃいます。そのなかでも、ホームヘルパーの仕事は、在宅生活を継続していくためにはとても重要です。
しかし、とても重要な職業であるにもかかわらず、仕事を辞めてしまう人がとても多いのはどんなことが理由なのでしょうか。
Contents
①労働時間が長い
ホームヘルパーの仕事は、非常勤やパートの職員が多いため、正規職員に仕事量のしわ寄せが来ることが多いです。
また、介護という仕事の性質上、サービス提供した利用者の介護記録や個別援助計画の作成などの記録類の作成が終わらなければ、帰ることができないという側面があり、残業時間が増えてしまいがちです。
毎日何時間も残業していては疲れてしまうのも当然で、ヘルパーの仕事を辞めたくなっても仕方がありません。
②正規職員になることができない・給料が安い
「正規職員になりたい」と思っていても、介護報酬の関係から、正規職員になることができず、他の介護サービスと比較しても給料が安くなりがちです。
間違いなくやりがいのある仕事なのですが、給料が低いことによってモチベーションがあがらないことも考えられます。制度上の問題であるため、どんなに専門職として能力が高くてもどうしようもない部分はあります。
③一人で対応するのがつらい
ホームヘルパーという仕事の性質上、基本的には一人で訪問することが多いです。家事支援や身体介助は、それほど大変ではないケースもあります。
しかし、一人で利用者宅を訪問するために、何かあった場合には一人で対応しなければならないというプレッシャーをかなり大きく感じることがあります。
また、サービスを利用する高齢者の中には、傲慢でクレームばかり言う人もいます。クレームを受けたことにより、「自分という人間を否定された」と感じることもあるようです。
④訪問先への移動が大変
基本的に訪問先へは、自転車を使う場合が多いかもしれません。また、仕事の性質上、次の訪問先まで時間がない場合は、急いで次の訪問先へ移動しなければなりません。
急いで移動することによって、肉体的にも精神的にも疲労することが考えられます。
⑤人と接するのがつらい
利用者やその家族、同じ事業所の職員とのコミュニケーションが難しかったり、人間関係が複雑であったりする場合、仕事を辞めたいという思いは強くなっていきます。
人と関わることが得意でない人は、「辞めたい」という思いが強くなることは当然かもしれません。
「辞めたい」と思ったときの対策は?
労働時間が長いときの対策
労働時間の長さについては、利用者宅での「家事支援・身体介助」ではなく、事業所に戻ってからの記録類の作成にかかる手間が一番大きな理由と考えられます。
このことについては、記録の作成方法についてスキルアップすることが一番よい方法だと考えます。介護の記録は、ただ行ったサービスを書くのではなく、「サービス提供したことによって、利用者がどのような反応を示したか、いつもと違った様子はなかったか、身体状況に変化はなかったかなど」いくつかのポイントを根拠に基づいてまとめて書くことが求められます。
記録の作成についての研修は、都道府県または市町村社会福祉協議会、民間の講習会、職能団体(介護福祉士会や社会福祉司会、介護支援専門員連絡協議会など)が主催している場合があります。
研修に参加することが難しい場合は、記録の作成方法についての書籍も多数、出版されていますから参考にすると良いでしょう。
事業所内の研修ではなく、積極的に外部研修に参加することによって、自分のスキルアップを図り、業務を効率的にこなすことができるようになります。
正規職員になることができない・給料が安いときの対策
「正規職員になることができない・給料が安い」この点についてですが、ホームヘルパーは人手不足が深刻化しています。
考え方を変えると、売り手市場と言えるわけです。なので給料をあげるためには自分の能力を高く評価してくれる事業所を探すことが一番てっとり早い方法だといえると思います。
しかし、そのためには自分のスキルアップを図っておく必要があります。普段から、自分の業務について、根拠立てて説明できる力が必要だと思います。
また、たくさんの外部研修等に参加し、たくさんの福祉関係者とのつながりを作ることでよりよい労働条件の事業所にめぐり合える確立も増えていきます。
一人で対応するのがつらいときの対策
このことについても、自分の事業所に「万が一、利用者の状態が急変した場合」のマニュアル等があるかを確認しましょう。
もし、そのようなマニュアル等がない場合は、事業所内の人と相談しあって対応策を検討しておく必要があります。または、緊急時の連絡先などをしっかり確認しておく、構築しておくことが大切です。
職業柄、どうしても利用者の状態の変化などに遭遇するリスクはあります。そのとき、動揺しないためにも普段から、そのような場合に備えて学習しておくことも必要です。
そのためには、外部の研修等に積極的に参加することも非常に効果的です。また、クレームの多い利用者や家族の場合には、決して一人では対応しないことです。
それから、自分で判断できるできないに関わらず、その場で返事をしないことも大切です。「事業所に戻って上司に確認します」この一言が、あるかないかによってその後の対応が、ずいぶんと変わってくると考えられます。
訪問先への移動が大変
訪問先への移動は、基本的には自転車だと思われますが、自家用車の使用が可能だったり、事業所の車を使える場合もあるかと思います。利用者宅への移動も、しっかりとした業務時間内です。
このことを頭に置きながら、自分にとって心身ともに負担の少ない方法を検討していきましょう。もし、利用者宅への移動に車の使用が認められないときには、よく事業所にその理由を確認しましょう。
場合によっては、利用者宅の事情によって「自動車でこられては困る」ということもあります。もし、そうでない場合については事業所とよく話し合うことが必要だと考えます。
人と接するのがつらい
ホームヘルパーだけでなく、介護の仕事をする人は人と接することが大切な業務です。介護の仕事をする人のコミュニケーションは、理論や原則、社会福祉援助技術を身につけることによって、飛躍的にスキルアップすることができます。
コミュニケーションは、ただ話をすればよいというものではありません。たくさんの理論とコミュニケーション技術を駆使する必要があるのです。
コミュニケーション技術や社会福祉援助技術については、都道府県や市町村社会福祉協議会、介護福祉士会や社会福祉士会が研修を開催していることがあります。このような研修会に参加し、スキルアップを図ることでコミュニケーションが苦手でなくなります。
まとめ
ホームヘルパーの仕事は、介護保険制度の改正によって振り回されてきた部分があります。また、最近の深刻な人手不足から外国人介護福祉士の訪問介護事業所への導入もほぼ確定しています。
このように、ホームヘルパーを取り巻く環境は、大きく変化してきています。しかし、これからの高齢者福祉を最前線で担っていくのは、間違いなくホームヘルパーのみなさんです。
社会情勢によって、厳しい労働環境ですが見方を変えると、ホームヘルパーは売り手市場です。常日頃から、自分のスキルアップを図っていくことでよりよい条件の事業所に移っていくことが可能なのです。
人によっては、「研修に行く時間がない」「研修に参加する費用がもったいない」などという人もいますが、自分の将来への投資と考えて積極的にたくさんの研修会に参加していくことは自分を大きく成長させることができます。
自分を成長させることによって、将来的には「介護支援専門員」や「社会福祉士」、「福祉サービス事業所の管理者」というように出世していくことも可能であることを忘れないでください。
また現状の給料に満足できないのであればもっといい事業所に転職することも前向きに検討してください。モチベーションアップにつながり、スキルアップに対しても意欲的になりやすい、という好循環が生まれやすいです。
以上。「ヘルパーを辞めたい」という方の参考になれば幸いです。