【もう辞めたい!】職場のパワハラ・モラハラの原因&対策!
(こちらのページは2016年12月19日に更新しました)
会社で働いていると「これってモラハラ(パワハラ)では…?」と思う場面に出会うことも多いと思います。
仕事でミスをしたことにより「上司から暴言をはかれた!」とか典型的な例ではないでしょうか。ただ、そんなことも「これも指導の一環だから」といわれると、そうなのかもしれないと思ってしまいますよね。
確かに仕事でミスをして注意を与えられるのは仕方がないことですが、そのミスが原因で個人的な悪口を言われたり人間性を否定するようなこと(「クズ」「人として終わってる」など)というのは明かなパワハラにあたります。
ではそんなモラハラやパワハラに対抗するためにはどうすればいいのでしょうか。また、モラハラやパワハラによって退職、転職するときに注意することはあるのでしょうか。
こちらのページではパワハラ、モラハラの定義から始まり、その原因&対策、退職~転職前の注意点まで一連の流れをおって解説していきたいとおもいます。
(セクハラについてはこちらのページで解説しています⇒セクハラで会社を辞める!訴えることってできるの?)
目次
モラハラ、パワハラの定義って?
ちなみに、モラハラやパワハラへの対策を紹介する前にそもそもパワハラとモラハラの違い、どんなことがモラハラやパワハラにあたるのか、といった点が気になっている人も多いのではないでしょうか。
結論から先に書くとパワハラとモラハラの違いは「どのような人間関係で行われているか」によって変わりますが、おこなわれるハラスメントの内容的にはあまり変わりがありません。
パワハラ
職場のパワーハラスメント(パワハラ)とは、「同じ職場で働く者に対して、職務上の地位や人間関係などの職場内の優位性を背景に、業務の適正な範囲を超えて、精神的・身体的苦痛を与える又は職場環境を悪化させる行為をいう。」とされています。
職場のパワーハラスメントの行為類型は以下のとおりです。(ただし、職場のパワーハラスメントのすべてを網羅するものではありません。)
- (1)身体的な攻撃(暴行・傷害)
- (2)精神的な攻撃(脅迫・暴言等)
- (3)人間関係からの切り離し(隔離・仲間外し・無視)
- (4)過大な要求(業務上明らかに不要なことや遂行不可能なことの強制、仕事の妨害)
- (5)過小な要求(業務上の合理性なく、能力や経験とかけ離れた程度の低い仕事を命じることや仕事を与えないこと)
- (6)個の侵害(私的なことに過度に立ち入ること)
モラハラとは
言葉や態度、身振りや文書などによって、働く人間の人格や尊厳を傷つけたり、肉体的、精神的に傷を負わせて、その人間が職場を辞めざるを得ない状況に追い込んだり、職場の雰囲気を悪くさせることをいいます。パワハラと同様に、うつ病などのメンタルヘルス不調の原因となることもあります。
http://kokoro.mhlw.go.jp/glossary/mentalhealth.html#word-1694より引用
こちらは厚生労働省が発表しているパワハラ・モラハラの定義ですが、つまりパワハラは上司⇒部下といった立場の強いものから弱いものへ行われるものですが、モラハラは同僚⇒同僚、部下⇒上司など、どのような人間関係の中でもおこります。
もちろん、パワハラは決して上司⇒部下に対してだけではなく、例えば「人間関係の優位性」を利用して「部下⇒上司」に行われることもあります。(部下が同僚みんなと仲がよく、その人間関係の優位性を利用して上司を職場で孤立させるなど)
とはいうものの、厚生労働省が発表している『平成24年度 職場のパワーハラスメントに関する実態調査報告書』で紹介されていますが、職場でおこなわれるパワハラの75%が上司⇒部下 に対して行われています。
なので、普通は上司から部下に行われるものがパワハラと考えていいでしょう。
また、パワハラとモラハラの違いについて「パワハラは誰の目から見ても明らかにわかるハラスメント」で「モラハラは表面的には分からない影でおこなわれるハラスメント」というように理解している人も多いですが、これはちょっと違います。
先ほどの”モラハラとは”という定義のなかに「肉体的に傷を負わせる行為」のような誰の目からみても明らかなハラスメントでもモラハラに分類されているからです。
なので、パワハラとモラハラの違いは「自分より立場が上かどうか」によって変わり、ハラスメントの内容自体についてはあまり変わりせん。
モラハラ、パワハラの具体例って?
次にパワハラやモラハラにあたる行為についてですが、下記に厚生労働省が発表している「パワーハラスメントの実例」を掲載しておきますので参考にしてみてください。
累計 内容 精神的な攻撃
- 皆の前で大声で叱責。物をなげつけられる。ミスを皆の前で大声で言われる(女性、30 歳代)
- 人格を否定されるようなことを言われる。お前が辞めれば、改善効果が 300 万出るなど会議上で言われた。(男性、20 歳代)
- 同僚の前で無能扱いする言葉を受けた。(男性、50 歳以上)
過大な要求
- 就業間際に過大な仕事を毎回押し付ける。(女性、40 歳代)
- 一人では無理だとわかっている仕事を一人でやらせる。(男性、20 歳代)
- 休日出勤しても終わらない業務の強要。(男性、30 歳代)
人間関係からの切り離し
- 挨拶をしても無視され、会話をしてくれなくなった。(女性、30 歳代)
- 報告した業務への返答がない。部署の食事会に誘われない。(女性、30 歳代)
- 他の人に「私の手伝いをするな」と言われた。(男性、50 歳以上)
個の侵害
- プライベートな事を聞いてきたり、相手は既婚者であるにも関わらず独身の私にしつこく交際 を迫った(女性、20 歳代)
- 交際相手の有無について聞かれ、過度に結婚を推奨された。(女性、30 歳代)
- 個人の宗教を、皆の前で言われ、否定、悪口を言われた。(女性、50 歳以上)
過小な要求
- 従業員全員に聞こえるように程度の低い仕事を名指しで命じられた。(女性、20 歳代)
- 営業なのに買い物、倉庫整理などを必要以上に強要される。(男性、40 歳代)
- 草むしり(男性、50 歳以上)
身体的な攻撃
- 足でけられる(女性、50 歳以上)
- 胸ぐらを掴む、髪を引っ張る、火の着いたタバコを投げる(男性、40 歳代)
- 頭をこずかれた(男性、50 歳以上)
さすがに足でけられたり胸ぐらつかまれて殴られたり、なんてことは今の時代は少ないと思いますが、「みんなの前で怒られたり」「プライベートについてしつこく聞かれたり」といった行為もパワハラ・モラハラになりますので注意が必要です。
こんな症状でてない?パワハラ、モラハラを受けている人は要注意
ここまでパワハラやモラハラの定義や具体例についてみてきましたが、あなたが職場で実際にされている行為のなかで「あ、これってパワハラ(モラハラ)だったんだ…」と当てはまったものはありますか?
もし当てはまったとして、そんなパワハラ・モラハラを定期的にうけているという人のなかで、下記のようなうつ病の症状が出ている人は要注意です。
典型的なうつ病の症状
- 気分が沈んでいる(特に午前中にひどく、午後から夕方にかけて改善されることが多い)
- 興味がわかず楽しめない(これまで楽しんでいたことを楽しめなくなる)
- 食欲が低下(増加)、体重が増減(何を食べてもおいしくなく、体重が1ヶ月で数キロ落ちてしまうケースも)
- 寝付けない、夜中や早朝に目が覚める(夜中や早朝に目が覚めその後眠れない。熟睡感が無く、体調が優れない)
- 動作や話し方が遅い。イライラしたり、落ち着きがない(体の動きが他人からみて明らかに遅くなったり、落ち着き無く歩き回るようなことも)
- 疲れを感じたり、気力がわかない(重く強い倦怠感を感じ、気力が低下。何もする気が起きなくなる)
- 自分に価値がない、または申し訳ないと感じる(自分を責めるあまり「自分はこの世からいなくなったほうがよい」と思い込むことも)
- 仕事や家事に集中したり、決断することができない(注意力、集中力が低下。仕事や家事が以前のように進まなくなったりする)
- この世から消えてしまいたいと思うことがある(自殺願望)
うつ病で自分の命を絶ってしまう人がいることはすでにあなたも知っていることと思いますが、うつ病が危険な理由は「自分に限って大丈夫」と思い、病院に行かない人が多いためです。
なので、もしあなたがパワハラ・モラハラを受けていて、先ほど紹介したような症状がすでに表れているのであれば一度病院でみてもらってください。
なんで起こるの?パワハラ&モラハラの原因って?
さて、それではなぜパワハラやモラハラは起こるのでしょうか。
ここでご紹介したいのが、『クラッシャー上司』という書籍で、こちらの本のなかでパワハラやモラハラというハラスメントは精神分析でいう 退行 にあたる行動だと解説されています。
赤ん坊は、おむつが濡れる、お腹が減る、寝苦しいと「ギャーッ」と泣く。そうすると全部、母親が解決してくれ、快適になる。わめきさえすれば全てが手に入る、と考える「感覚」を、精神分析では「幼児的全能感」と呼ぶ。
中略
不快なときに、暴言を吐いて威圧すれば、周囲はそれにひるんで、全て自分が思う通りに動いてくれ、自分が満足できるだろうという安易な全能感を発露させる行為が「ハラスメント」の根底にあるのだ
当然ですが、他人と共に行う仕事をしている限り、自分の思い通りに行かないことなんていくらでもあり、できる限り理想的な状態にするために他人と交渉したり、協業したりするわけです。
ですが、モラハラやパワハラを行う人とというのはそういった「努力して、少しずつ物事を改善していこう」とする忍耐力のようなものが著しく欠けているため、自分の思い通りにならない状況を改善するために相手に暴言を吐いたり、暴力をふるったりする、というわけですね。
また、最近はグローバル化社会が叫ばれ、日本企業も国際的な競争にさらされ企業間の競争が激化し、一昔前みたいに「大企業なら潰れない」という通念もほぼなくなったといえます。
このような先の見通せない社会のなか企業も常に「不安」にさらされ、より早く「結果を出す」ことが求められています。にも関わらず成果を出せず、上司から「早く結果を出せ!」とプレッシャーをかけられ”不快な状況”になった結果モラハラやパワハラを行ってしまう人も多いです。
その上司はそのさらに上の上司から…というように、先行きの見通せない今の社会にストレスを感じる人が増えているという社会構造自体が、現代でモラハラやパワハラを行う人を増やしているのかもしれません。
パワハラ、モラハラの対策は?
さて、パワハラやモラハラを行う人の精神構造をご紹介しましたが、それではパワハラやモラハラに対してどのように対抗すればいいのでしょうか?
同じ土俵で戦わない
ここまでご紹介したとおり、パワハラやモラハラを行う人というのは「泣きわめけば状況が改善すると思っている赤ちゃんと同じ」なわけですが、そう考えると「そんな人にまじめに対応するのがバカバカしい」と思えませんか?
そう考えられるようになるだけでストレス度合はかなりマシになるはずですし、実際、まともに対応することをやめれば精神的にかなり楽になるはずです。
クラッシャー上司が、部下である自分の仕事について何かケチをつけにやってきても、「ヒラメが回遊してきたな」くらいに受け流す。「またマウンティングをしにきた。勘弁してくれよ」とまともに反応しない方がいい。
書籍『クラッシャー上司』 第4章 クラッシャー対策より
これはなにも上司に限ったことではなく、パワハラやモラハラなどのハラスメントを行うすべての人に当てはまることで、そういった行いをする人は”幼稚”なのですから、「おーよしよし。そうですねー」ぐらいに上から目線の気持ちでいればいいのです。
ただ、もちろんこんな態度を表立って表せば、相手の行動をエスカレートさせるだけですから、表では「申し訳ございません」と謝りながらも、内心はこのような気持ちでいるようにしましょう。
上司(上司の上司)や上層部に相談する
とはいえ、パワハラ、モラハラといったその行動自体がなくならなければ少しでもストレスは感じるもので、”塵も積もれば山となる”可能性もあります。
なので、上で解説したように”相手と同じ土俵で戦わない”ことを意識しつつ、相手の行動も戒める必要があるわけですが、パワハラ・モラハラを受けているのであれば、パワハラ・モラハラを行っている上司の上司に、もしくは更に上の社内の上層部の人たちに相談することが第一に考えられる対策でしょう。
パワハラを行っている上司も、自分の上司から注意勧告を受けたとなれば、さすがに態度を改める必要性を感じ、言動についても少しはマシになるかもしれませんし、また、異動というような対応をとってもらえるかもしれません。
ただ、上の人間に相談するときはしっかり証拠もとってから相談することでより信憑性が増します。口だけでいってもなかなか信じてもらえないこともありますので。
パワハラの証拠として有力なのはまず録音です。最近はスマホにも録音機能がついているので、簡単に録音することができます。
ただ、パワハラがいつ起こるのかある程度予想できる場合はあらかじめスマホの録音機能をONにしておけばいいですが、予測がたてられない場合、いちどポケットの中からスマホを取り出して録音機能をONにしなければなりません。
勘のいい相手ならもしかすると「こいつ、録音しているのでは…?」と感づかれたりするかもしれません。なのでそんな方は別にボイスレコーダーなどを購入したほうがいいでしょう。
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また、録音とともに記録もつけておくようにしましょう。いつ、どこで、誰が、何を言ってきた(or どんなことをされた)という記憶を残しておけばそれも有力な証拠となりますので。
記録をとるときは5W1Hを意識して書きましょう。「いつ」「どこで」「だれが」「なにを言ってきた」と、できるだけ具体的に書くことです。(ノートに手書きというアナログの方法がおススメです。パソコン上で残しておくとバックアップをとっていなければ大事な証拠が消えてしまいますので)
ちなみに先ほどのパワハラが行われる二つ目の「会社のシステムの問題」が原因でパワハラが行われている場合、職場で行われているパワハラの原因自体がその上司の上司や上層部の指示によって行われている場合もあります。
そのような場合、この方法は効果がありませんし、上司の上司や上層部がまとめに取り合ってもらえない場合はどうすればいいのでしょうか。
被害を受けている同僚と共に立ち上がる
会社のシステムの問題によってパワハラが行われている場合、職場であなた以外も被害にあっている人がいる可能性が高いです。そのような人たちと一致団結して、会社に対して労働環境の改善を訴えるという方法も一つの対策として考えられます。
一人で訴えたところで、会社側は相手にしてくれないかもしれませんが、従業員全員で会社に対して環境の改善を求めるような動きをすれば、さすがに会社側も対応せずにはいられないでしょう。
具体的にはストライキを起こすなどが考えられますが、先ずは被害を受けている同僚と一緒に話し合い、意思を統一する必要があります。
外部の相談窓口を利用する
次に、もしも社内での解決が不可能ならば社外に相談するというのも一つの方法です。
外部のパワハラ・モラハラ相談窓口として考えられるのは、各都道府県に存在する労働局や労働委員会といったところでしょうか。(こちらのページでまとめて関連の相談窓口が紹介されています⇒職場のパワーハラスメント(パワハラ)に関連する相談窓口一覧)
ただ、こういった機関を利用したものの何も具体的なアクションを起こしてくれない場合も多いです。というより、そもそも日本にははっきりとパワハラ行為を規制する法律がありませんのでなかなか動きずらいという側面もあります。
なので労働局や労働委員会もあいまいなパワハラに関しては行動に移しづらいです。ちなみによく間違えられがちですが、労基署はそもそもパワハラについては管轄外になります。(詳しくはこちら)
弁護士に相談して裁判を起こす
そして社外の相談先といえば外せないのが弁護士です。
ただ、弁護士に相談して裁判を起こす場合、弁護士に相談するための費用や判決がでるまでにそれなりの時間がかかったり(期間は3~6ヶ月ほどで判決に至るケースが多い)、例え勝訴できたとしても自分の求めている金額を受け取れなかったりなど、時間&金銭的リスクがあることは事実です。
パワハラの裁判で弁護士を雇う費用の相場は50万円~100万円ぐらいです。もちろん、勝訴すればその分慰謝料が入ってきますが、敗訴すればすべて自費になります。
裁判で争うためにはパワハラ・モラハラが行われた証拠も必要となります。相手から暴力を受けて「体中にあざがある」ような場合は別かもしれませんが、パワハラやモラハラは基本的に証拠が残りません。なので、自分でしっかりとパワハラ・モラハラが行われたという証拠を集める必要があります。
このように裁判を起こすにはいろいろと知っておかなければならないことがあるわけですが、先ずは弁護士に相談するのが始めの一歩といえるでしょう。
ちなみに先ほども少しご紹介しましたが現在の法律ではパワハラを罰するための明確な法律はなく、民法709条の不法行為にあたる行いとしてパワハラが罰せられるケースが多く、不法行為の場合、時効は3年となっています。
しかし、時間の経過と共に相手や自分の記憶があいまいとなることも考えられますし、(はっきりとした証拠が残っている場合は別でしょうが)もしも本当に「訴える!」という決心がついたのなら行動を起こすのは早めのほうがいいといえます。
パワハラ・モラハラで仕事を辞める or 辞めないの判断基準は?
ここまでパワハラ&モラハラ対策について紹介しましたが、「上司(上層部)にパワハラ&モラハラについて報告した」にも関わらず、パワハラ、モラハラを無くそうとする行動すらおこさないようなら、その企業に対しては見切りをつけたほうがいいかもしれません。
パワハラやモラハラを行う人が、自分で自分の過ちに気づき、行動を改善するなんてことはほぼ起こりえないからです。それぐらい自分を客観的に理解できていて、「もっと他人に優しくしよう」と思えるような人なら、そもそもパワハラやモラハラを継続的に行うようなことはしませんからね。
そこで、パワハラ&モラハラ人間の行動を戒めることができるのは企業のマネジメントシステムです。例えばパワハラやモラハラを起こしやすい自己愛性パーソナリティ障害の人に対しては専門的な治療が必要です。
もちろん、パワハラやモラハラを行っている人が何らかの障害をおっているなんていえませんが、パワハラやモラハラの被害者が加害者の行動を改善させるなんてことはほぼ不可能に近いのではないでしょうか。
そこで第三者の力が必要なわけで、その役割を担うべきなのが上司の上司、企業のマネジメントシステム(突き詰めれば”企業が従業員に適切な職場環境を提供しようとしているか”=従業員を大切にしているか)なので、ここが正常に機能していなければパワハラやモラハラが行われる現状が改善される可能性は非常に薄くなります。
なので、「上司(上層部)にパワハラ&モラハラについて報告した」にも関わらず、パワハラ、モラハラを無くそうと動きが全くないのであれば、もうその企業を辞める方向で動き始めたほうがいいかと思います。
パワハラ・モラハラで退職するときは自己都合?会社都合?
ここまで、実際にパワハラ・モラハラを受けたときの対策を見てきましたが、ハッキリいって今の日本の法律でパワハラ・モラハラを100%防ぐことはムリです。
なのでもし、あなたの会社がパワハラやモラハラ問題を積極的に解決していこうという会社でない場合(上司や、その上の人間に相談したのにも関わらずいっこうにパワハラ・モラハラが改善しない)、早めに逃げるという選択も考えてください。
「逃げる」なんて書くとなんだか悔しく感じてしまうかもしれませんが、そんな会社の職場でパワハラやモラハラと戦うこと自体ナンセンスです。
長い間パワハラ・モラハラを受けていると精神的ダメージが大きくなります。そして心の傷は本当に長い間残るものです。
人によっては長期間の休みが必要になる人もいるでしょう。果たしてそれだけのリスクをとって、今の会社のために働くだけの理由があなたにあるのでしょうか?
もし「そんなものあるわけないだろ!」というのでしたら早々に退職されることをおススメしますが、ここで「そういえばパワハラ(モラハラ)で退職するときって自己都合?それとも会社都合…?」と、疑問に思う人も多いです。
自己都合か会社都合かによる退職で変わってくるのが失業給付金(雇用保険)です。退職した際に、次の転職先が決まるまで受け取れる保険金のことですが、会社都合の方があらゆる面で好条件になります。
項目 | 自己都合 | 会社都合 |
---|---|---|
最短支給開始日 | 3ヶ月+7日間 | 7日後 |
給付日数 | 90~150日 | 90日~330日 |
最大支給額 | 118万円 | 260万円 |
国民健康保険税 | 通常納付 | 最長2年間軽減 |
上記の表をみてもらったらわかる通り、いろんな面で会社都合でやめた方が好条件で、特に注目すべきなのが「最短7日~給付金がもらえる」というところ。
自己都合で辞めた場合、3か月間の給付制限期間があるので3か月間はお金がもらえません。やっぱり辞めてすぐにお金が入ってくるのとこないのとでは安心感が違いますからね。
そこで可能であれば自己都合ではなく、会社都合によって退職したいところですが、パワハラやモラハラによる退職は「会社都合」にできるのでしょうか?
結論から書くと”可能”です。では、どうすればパワハラ・モラハラによって退職するときに会社都合になるのでしょうか。
この問題については埼玉労働問題相談所・春日部【労働者の労働相談】 で詳しく解説されていますので、ぜひご覧いただければと思いますが、パワハラやモラハラで退職するために大切なポイントをまとめておきますと…
- 退職する14日以上前に退職”届”を出す(退職”願”ではありません)
- 退職届には「誰に、いつ、どのような行為をされ、職場にいづらくなったため退職する」ということをしっかり書いておく
- 会社側が「自己都合じゃないと受け取らない!」という場合、証明郵便を利用して会社に退職届を送る
- 万が一、自己都合として退職したとしても条件次第ではハローワークにて「会社都合」に変更できる可能性がある
先ず、民法では14日前までに退職の意思を表明すれば退職可能となっています。このため、例え会社の労働規則に「1か月前まで」などと書かれていても問題ありません。
もちろん、会社となんのトラブルもなく穏便に退職したいという場合は労働規則にしたがって辞めたほうがいいですが、パワハラ・モラハラで辞めるのだとすればそんなの気にする必要ありません。「そんなもん知るか!」でOKです。
ただ、この退職届には「誰に、いつ、どのようなことをされたため、会社にいづらくなったので退職する」ということをしっかり書いておきましょう。これが「会社都合で辞めた」という証拠になります。(ここで「一身上の都合で」なんて書いてしまってはいけません)
ですが、パワハラについて会社側に相談もせず、いきなりそんな退職届を渡したとしても寝耳に水です。「え!?なにそれ!?」「聞いてないよ!」という反応が返ってくるのは目に見えています。
このため、(先ほどの”パワハラ対策”のなかでも書きましたが)先ずはパワハラについて上司や上層部に相談しておくことが大切です。その結果、「いっこうにパワハラが改善されなかったから退職する」として退職届を出したほうが相手もより納得しやすいです。
とはいうものの、そんなにスムーズに話が進む方が珍しいのも事実。なかには「自己都合じゃないとそんなもの受け取らない!」という会社もありますし、会社都合で出した退職届を「自己都合に直せ!」と迫ってくるひどい会社もあるようです。
会社は会社都合による退職者を出すと厚生労働省から支給金をもらえなくなるなどのデメリットがあるため、できるだけ自己都合による退職にしたいという事情があります。
そんな時に役立つのが内容証明郵便です。内容証明郵便なら郵便局がだれに・いつ・どのような内容の郵便物が送られたか、郵便局が証明してくれます。
こうすれば会社がもし勝手にあなたの退職理由を「自己都合」に改ざんしたとしても郵便局が退職届の内容を証明してくれますので心配いりません。
この手順で(あなたがパワハラを受けていたという明確な証拠があるのであれば)、会社都合によって仕事を辞めることができるでしょう。
しかしもし「本当の理由はパワハラだけど、すでに自己都合によって仕事を辞めてしまった…」という人はどうすればいいのでしょうか。そんな人の場合、ハローワークにて離職理由の異議申し立てをすることができます。
離職票の右下に、会社がつけた離職理由に「異議あり、なし」に〇をつける欄がありますので、そこに〇をつけてハローワークに提出してください。(その際にパワハラが行われた証拠があれば提出しましょう)
ただ、そのような異議申し立てがすべて承諾されるかどうかはわかりません。なので、可能であればそれまでに会社側と交渉して退職理由を会社都合にしてもらうのがベストです。
退職理由が自己都合でもすぐに雇用保険をもらうことは可能?
ちなみに、もし自己都合で退職してしまいハローワークで異議申し立てが承諾されなくても、職業訓練校に通うことですぐに雇用保険をもらうことができます。
なのでもし会社都合での退職がムリだったけど「すぐに雇用保険をもらいたい!」というのであれば職業訓練校に通うのも一つの選択肢だと思います。(職業訓練校は無料です。詳細はちかくのハローワークまでお問い合わせください)
パワハラ・モラハラで転職するときのありがちな悩みって?
さて、パワハラ・モラハラがひどく、一向に会社側が状況を改善してくれる気もないため退職するという方向で決心がついた人が次にしなければいけないのが転職活動です。
ですが、パワハラ・モラハラで転職を決意した人にありがちな悩みとして…
- 「次の職場でもパワハラやモラハラにあってしまったら…」と思うと転職を躊躇してしまう
- パワハラやモラハラで転職するときの”転職理由”ってどうすればいいの?
といったものが挙げられます。
パワハラやモラハラが辛くて辞めたのに、次の職場でもパワハラやモラハラに会うかもしれない、と考えたら二の足を踏んでしまうのは当然です。
また、パワハラやモラハラで辞めた場合、「その理由を転職活動のときにそのままいってもいいの…?」とひとりで思い悩む人も多いです。
では、あなたがもしこんな不安をいま抱えているのだとしたら、どうすればいいのでしょうか?
パワハラ・モラハラの少ない職場って?
先ず一つ目の疑問としてパワハラやモラハラの少ない職場を転職前に判断することはできるのか、ということです。
ここで紹介しておきたいのが、ページ冒頭でも引用した『平成24年度 職場のパワーハラスメントに関する実態調査報告書(概要版)』の14ページに記載されているパワーハラスメントが発生する職場の特徴についてです。
平成24年度 職場のパワーハラスメントに関する実態調査報告書(概要版) とは?
職場のパワーハラスメントの実態を把握する目的で、従業員(正社員)30 人以 上の企業約 17,000 社及び民間企業に勤務している者 9,000 名に対して、2012 年 7 月から 9 月にアンケートを実施した
そのアンケート結果をもとにして見えてきたパワハラの実態が書かれているのがこの報告書ですが、アンケート結果からパワハラが起こりやすい職場には共通点がいくつかあることが判明しました。それが以下の3つです。
- 残業が多い/休みがとりにくい
- 上司と部下のコミュニケーションが少ない
- 失敗が許されない/失敗の許容度が低い
そしてこの中でも特に顕著な結果がでたのが「上司と部下のコミュニケーションが少ない」という項目。つまり、パワハラを受けた多くの人の職場では「上司と部下のコミュニケーションが少ない」ことが分かっています。
4.3 会社や上司へのモノの言いやすさとパワーハラスメントの関連
会社や上司へのモノの言いやすさとパワーハラスメントの関連 従業員調査における職場のコミュニケーションに関する状況に関する質問について、同 様に現在の職場でのパワーハラスメント経験者と未経験者で比較を行った。
「悩み、不満、問題と感じたことを会社に伝えやすい」という質問に対して経験者では 「あまり当てはまらない」、「全く当てはまらない」の合計の回答比率が 64.0%に対し、未経 験者では 35.9%と 2 倍近い差となっている。
同様に、「悩み、不満、問題と感じたことを上 司に伝えやすい」という質問に対しては、経験者の同比率は 57.9%に対し、未経験者では 31.9%と、やはり否定的な回答の比率が 2 倍近い差となっている。
中略
現在の職場でのパワーハラスメント経験者の回答や未経験者との回答の差を見る限りに おいて、コミュニケーション上の問題としては、「会社や上司に対する相談のしやすさ、話 しやすさ」といった点が重要であることがうかがえる。
これはページ冒頭で紹介した「パワハラの75%が”上司”からのパワハラ」だったという調査結果からもうなずける結果です。つまり、そんな上司とコミュニケーションがとりやすい(仲良くなりやすい)職場ならパワハラを受ける可能性は減る、ということが言えます。
もちろん、職場なんて関係なく、自己愛性パーソナリティ障害のような人が上司になってしまった場合(そんな人が上司になることは少ないと思いますが…)、コミュニケーションとか関係なくパワハラをしてくるでしょうし、さすがに転職前に上司の性格までは分かりません。
ですが、”職場的”にパワハラが行われにくい(上司と部下のコミュニケーションがよくとられている、とりやすい)環境なのであれば、(パーソナリティ障害のような例外を除いて)パワハラが行われる可能性を減らすことができるはずです。
転職前に上司と部下のコミュニケーションがとりやすい職場か判断するには?
それでは転職前に、上司と部下のコミュニケーションがとりやすい職場かどうかどうやったら判断できるのでしょうか。
それはやはり、面接時に上司と部下がコミュニケーションを促進するために、どのような施策がとられているか確認してみることでしょう。
たとえば書籍、『職場の問題地図~「で、どこから変える?」残業だらけ・休めない働き方』のなかで、上司と部下のコミュニケーションを促す職場づくりの施策の一つとして「業務の中に報連相を行うプロセスを組み込む」ことが紹介されています。
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ここでちょっと想像してもらいたいのですが、顔が怖くて声もドスが聞いていて、なぜかいつも「怒っている」(ような雰囲気)で常に忙しそうに歩きまわっている、そんな上司の場合…
やっぱり声をかけずらいのではないかと思います。
ですがもし、日常の業務のなかで報連相ができるようなシステム作りができているなら、必然的にコミュニケーションはとらなければならなくなります。
例えば始業前の10分間を上司と部下がコミュニケーションをとれるよう報連相タイムとする、日々の日報のなかで上司に報連相ができるようなフォーマットにしておくなど、方法はいろいろとあります。
こういったシステムが日常業務のなかに埋め込まれていると必然的に上司とコミュニケーションをとる機会が増えます。そして人間、よっぽど印象の悪い人でもないかぎりコミュニケーションの回数が増えていけば自然と仲良くなっていくものです。
転職での面接時、こういった施策がどれだけ行われているのか面接官に聞いてみることで、上司と部下のコミュニケーションがどれぐらいとりやすい職場なのか判断できるかもしれません。
ただ、正直いって「上司と部下」の関係に限定してコミュニケーションの活性化をはかっているような企業なんて間違いなく少数派です。(看護業界のプリセプター制度など、業界によってはもちろん違いますが)
なので、そんな質問をしても「ん…。特になにもおこなっていないかな」と答えられることが多いと思います。
そんなときは、(上司と部下だけでなく)職場全体でコミュニケーションを活性化させるような施策がとられているのかも面接で聞いてみてください。
というのも『平成24年度 職場のパワーハラスメントに関する実態調査報告書(概要版)』22ページでも取り上げられているとおり、パワハラ予防の観点からいうと職場全体でのコミュニケーション活性化が効果的だということが取り上げられています。
パワーハラスメントの相談がある職場の特徴として「上司と部下のコミュニケーション の少ない職場」が最も多くあがったことを考えると、パワーハラスメントの予防・解決の ための取組の効果を高めることと職場のコミュニケーションの改善は表裏一体の関係にあ ることがうかがえる。
さらに、ここでまた一冊引用させていただくと、書籍『心が折れる職場』には職場内で雑談含め、よくコミュニケーションがとられている職場ほど、ストレスによって心が折れる(うつ病などの心の病になってしまう)ことも少ないため、離職率が下がると紹介されています。
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メンタル不調を抱えてしまう人が出てくる職場は、必要に迫られた「業務連絡」以外の話をしにくい傾向が大変に強く、場合によっては、「仕事の話すら、気軽にはしにくい」という状況だってあります。
中略
「雑談をしやすい」雰囲気がふだんからあれば、例えば、エレベーターの中、トイレで手を洗っているときなど、ふとしたタイミングで何かしら社員同士が言葉を交わしています。
こうした雑談やプライベートを話せる雰囲気があると、なぜ不調者が出にくくなるのか。それはトラブルなど、いざというときに、助けを求めることができるという安心感につながるからです。
ふだんから職場内で気軽に話せる人がいて、(事実かどうかはおいておき)「いざってときはあの人が助けてくれる!」と思える人が職場に一人でもいれば、やっぱりすごく心強いです。
あなたの職場はどうでしょうか?職場では雑談をしやすい雰囲気になっていますか?もしかするとパワハラ上司の前では「とてもじゃないけど雑談なんてできない…」という雰囲気になっているかもしれませんね。
そんな職場ではどうしても周りの人間とコミュニケーションがとりづらく、「孤独」を感じてしまいがちです。そうなれば精神的に追い込まれて”心が折れてしまう”可能性も高まります。
なので、職場のコミュニケーションの活性化がはかられているかどうかは仕事を長く続けるためにとても大切なことです。
そんな職場だったら逆に、コミュニケーションを阻害しているそのパワハラ上司がいづらくなるでしょうからね。
社内コミュニケーションの活性化をはかっている企業の具体例
ちなみにあなたは世の中の企業がどんな風にして社内のコミュニケーションを活性化している(しようとしている)か知っていますか。
下記にいくつかそんな企業の例をご紹介しておきますので、「へーこんな企業もあるんだ!」程度に参考にしてもらえれば幸いです。
●フリーアドレス制度
フリーアドレスとは、社員が固定の席を持たずに、オフィスの空いているデスクを使う方式のことで、1980年代に日本の建設会社のオフィスで採用されたことが始まりと言われています。
中略
近年はフリーアドレスの効果として、社員の働き方やコミュニケーションに変革をもたらす点が注目を集めています。席が変動することで、職位や部署を超えたコミュニケーションが生まれ、その日の業務に関係する人でデスクを囲むなど、仕事に応じたコラボレーションも可能です。
「フリーアドレス」で社内活性化より引用
●サンクスカード
サンクスカードは、その名の通り名刺大の紙に感謝の言葉を書くものです。例えば同僚にちょっと手伝いをしてもらったときなどに、「××さん、忙しいときに手伝ってくれてありがとう」と書いて渡すといった具合にです。
サンクスカードが増えていくに伴って、確かに社内のコミュニケーションは円滑になり、雰囲気は明るくなりました。そのため社員の定着率も上がった。
何より素晴らしかったのは、お客様から「株式会社武蔵野は雰囲気がいいですね」とお誉めの言葉をいただくようになり、業績も大きく向上したことです。
「ありがとう、と言えたり、言われたりすると社員満足も上がり、ひいてはお客様満足度も上がる」というわたしの方針は、ずばり的中しました。
●社内イベントでの運動会
やはり最初は「え?」とか「今さら運動会なんて…」という声も一部では聞かれました。ただその後、チーム分けが決まり、実施する競技種目が具体的になる中で、「誰が何の競技に参加するか?」といった運動会に関する会話が社内で増えていきました。
ついにはチーム内の会話だけではなく、他のチームにまで「あの競技は誰が出るの?」と聞く人も出てきました。新しいコミュニケーションが本番前から生まれているのを見ていて、密かに成功の予感を感じていました(笑)。
●人事部感動課
「感動で社員一人ひとりを奮い立たせる、テレビ番組を作るようなプロジェクトを立ち上げたい」。鶴の一声で始まった取り組みは、社外にも実績や前例がない。福西さんはメインミッションとの兼務で立ち向かった。
感動課の活動は、「リサーチ」と「イベント」の二本柱で構成される。前述の日報を読み、社員のコンディションを把握することがリサーチの入り口。
仕事の壁を乗り越えて喜んでいるメンバーがいると、福西さんはその上長や同僚を巻き込んでプチイベントを企てる。
特製の賞状を用意して、会社からの感謝のメッセージを伝える。贈呈の場は部署の飲み会であったり、ときには家族を巻き込んで家庭で行われることもあるという。
こういった例を読んでいると「いやいや…こんな優良企業に入れる人の方が珍しいでしょ…」とおもってしまうかもしれません。
確かに今の日本の企業のなかには社員を使い捨ての駒としか思っておらず、「社内のコミュニケーションの活性化」を社の課題として挙げるような企業はそれほど多くないかもしれません。
ですが、2015年になって「ストレス度チェックの義務化」が始まるなど、世の中の流れは確実に「社員一人ひとりの満足度を高める」流れに向かっています。
そしてもし、そうであるなら、転職の面接時において社内のコミュニケーションの活性化のためにどのような施策を行っているのか質問してみると「実は最近とりくみ始めたんだ」、とか「実はそれが今の課題で…」というような現在進行形の企業とも出会えるかもしれません。
そんな企業は少なくとも「んー…。ちょっと課題にすら上がったことがなかったね…」と答えるような企業よりかはマシではないでしょうか。
もちろん、あまりに小規模な会社だった場合、「単純にパワハラが問題になったことがない」という場合も考えられますが、企業規模が大きくなり、従業員の人数が多くなればなるほどパワハラという問題が出てきやすくなります。
より多くの「上司と部下の関係」をかかえることになるわけですからね。
なので、そんな大きい規模の会社なのにも関わらず、パワハラ・モラハラ問題にたいして関心を寄せていない(社内コミュニケーションの活性化が課題にもあがらない)企業には注意したほうがいいかもしれません。
1000人以上の規模の企業はパワハラ対策が進んでいる?
さらにここでもう一度、『平成24年度 職場のパワーハラスメントに関する実態調査報告書』を引用させてもらうと、企業規模によってパワハラへの対策についての意識の高さは違うことが明らかになっています。
- ”職場のパワーハラスメントの予防・解決のための取組は経営上の課 題として重要”と認識しているのは1000人以上の規模で91.7%と高く、99人以下の規模の企業では68.5%と低い
- 従業員が 1000 人以上の企業では、パワーハラスメントの予防・解 決に向けた取組を「積極的に取り組んでいる」または「取り組んでいる」とする比率が 51.9% と半数を超えている一方で、従業員が 99 人以下の企業では 7.9%、100~299 人の企業でも 19.1%と少ない
つまり、従業員の少ない企業(299人以下)よりも従業員数の多い企業(1000人以上)の方が積極的にパワハラ対策に取り組んでいるというアンケート結果が出ています。
当然ながらこれは単なるアンケート結果ですから、盲目的に信じることはできませんが、さきほども紹介したとおり、企業規模が多くなり従業員の人数が増えれば増えるほど企業がパワハラ対策に取り組むというのは理にかなっていることです。
従業員が増え、パワハラが報告される件数が増えて来たらさすがに経営者も黙ってはいません。
「あそこはパワハラ企業だ!」なんてうわさが出回ればイメージダウンにつながり、(特に規模の大きい)会社にとっては大きな損失になりますからね。
もちろんだからと言って、「よし!この企業は1000人以上働いているから大丈夫だ!」というのはあまりに単純すぎます。
先ほどのアンケート結果からもわかる通り、「実際にパワハラ対策に取り組んでいる」と答えたのは1000人以上の規模の企業でも51%と半数程度ですからね。
なので、会社の規模はあくまで参考程度にとらえて、面接時にしっかりと「どのような職場のコミュニケーションを活性化させるような施策をおこなっているのか」聞き出すようにして頂ければと思います。
ちなみに規模の大きい(1000人以上の規模など)の会社に転職したい場合はDODAのような転職エージェントがおススメです。
転職エージェントに求人を出せるのは資金に余裕がある、それなりに規模の大きい会社ばかりだからです。この点をおさえずに転職活動を行っていても、なかなか大きめの規模の会社には出会えないかもしれません。
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パワハラ・モラハラによる転職理由ってどうすればいい?
さて、パワハラが行われる職場(企業)の傾向についてお話させて頂きましたが、次によくある悩みが「パワハラやモラハラで辞めたときの転職理由ってどうすればいい?」というものです。
結論から先に書きますと、できれば話さない方が良いです。というのも「パワハラやモラハラで辞めた」という退職理由を話してしまうと、暗に「志望度が低い」という印象を面接官にあたえてしまうためです。
ここで一度、あなたがこれから転職すると思って考えて頂きたいのですが、あなたは企業への”志望動機”として、どんな内容を考えますか?
- 御社のグローバル戦略を推し進める一員として、これまでのキャリアが活かせるのと同時に自分のキャリアアップを図るため…
- 以前働いていた企業とは違い、成果次第ではどんどん仕事を任せてもらえる御社の社風に魅力を感じて…
- 御社の職場では、前社で学んだ技術にさらに磨きをかけられると考えて…
ここで気づいていただけたかもしれませんが、転職時の志望動機を考える場合、ふつう転職先への志望動機と今の仕事の退職理由は”セット”のはずなのです。
- 自分のキャリアアップを図る⇒今の会社では自分の理想とする将来を実現するためキャリアが積めない!
- 成果主義の社風に魅力を感じて⇒今の会社は成果を出してもなにもしてくれない!
- これまで学んでいた技術にさらに磨きをかけて⇒今の会社で学べることが無い!
言い方を変えると「いま働いている会社を辞めてでもあなたの会社に入りたい!」ということになります。
そして、ここでもしあなたが退職理由を「職場のパワハラ(モラハラ)が辛くて辞めました」とした場合。
- パワハラ(モラハラ)が辛くて退職しました。今回、御社を選んだ理由は今後、自分の理想とするキャリアを~
なんだか「今はたらいている(働いていた)会社を辞めてでも御社に入社したい」というパターンに比べて説得力が低いと感じませんか?
つまり、「パワハラ、モラハラで辞めた」と言った時点で、「もっと自分を高めるために今の仕事をやめてでも転職したい!」という転職理由よりどうしてもインパクトが弱くなってしまいます。
このため、もしあなたと同スペックの人間が企業の採用候補に挙がっていたとして、志望動機の差によって選考を落とされてしまう可能性が高くなってしまいます。
なのでもし「パワハラ(モラハラ)で辞めた」という転職理由を言わなくて済む、違う転職理由を考えられるのであればその方がいいです。
嘘がバレるよりかは本音で話したほうがマシ
とはいうものの…。人によってはどうしても嘘をつくことができないという人もいます。
また、どうしても前職の退職理由とセットでいい志望動機がうまく思いつかないこともあるでしょう。そんな場合はハッキリと「前職はパワハラやモラハラで辞めてしまった」と言ってしまってもいいと思います。
というのも、中途半端な志望動機をとってつけて面接にいどみ、「なんだかありきたりだな…」と思われたり、「話に矛盾がある…。この人嘘をついてる(=なにか言えない問題がある)のかな?」と思われるのが一番最悪だからです。
そんな印象を与えた面接で受かる可能性なんて、あなたのスペックがよほど高いとか、そんな特別な理由がないかぎりありません。(逆にそんなにスペックが高いならもっと条件のいい企業への転職を目指せるはずです)
そんなことになるぐらいなら、正直に「パワハラ(モラハラ)で辞めました」と本音で話したほうが後悔は少ないのではないでしょうか。
ただ、もちろんパワハラ(モラハラ)で辞めたと伝えるときは…
- その問題を解決するためにどのような対策を行ったのか?
- その経験から何を学んだのか?
といった点も同時に伝えなければいけません。
どのような対策を行った?
例えば採用側の企業からして最も恐れているのが「この人をとっても、ちょっとした人間関係ですぐに辞めてしまうのでは?」という点です。
企業が新しい人を採用するコストはバカになりません。それだけコストをかけて採用した人がすぐに辞めてしまったとなれば、「なんでそんな人間とったんだ!」と、面接官の責任問題にもなりかねません。
なのでそんな面接官の不安を解消するためにも、パワハラを受けたときどのような対策をどれだけの期間おこなったものの、どうしても状況を改善できなかったという流れで伝えたほうがいいです。
そうすればあなたは「決してストレス耐性の低い人間ではない」ということをある程度は証明できます。
その経験から何を学んだ?
また、それと同時に「その経験を活かして、今度からは…」という、経験から何を学び、次にどのように活かそうと考えているかを説明することで、あなたが優秀な人材であることを面接官に暗に伝えることができます。
優秀な人というのは「経験から学び、次に活かせる人」のことです。この点もしっかりアピールして、面接官にいい印象を与えるようにしましょう。
終わりに
パワハラやモラハラについて解説してきましたが、長い文章をここまで読んでいただきありがとうございました。
パワハラやモラハラは「決して許される行為ではない」ということは広く知られるぐらいにまで、パワハラ・モラハラの存在は世間的に認知されていますが、まだまだ法的に整備がされているわけではありません。
なので、パワハラやモラハラが0とまではいかないまでも、もっと数が減るような施策を国が行い、企業がそれに従う形で対策をおこなうことが大切なのですが、今、パワハラ・モラハラを受けている人にとっては「問題なのは今!」ですからね。
そんな、現在進行形でパワハラ・モラハラという問題に対応するために、このページが何らかのお役に立てれば幸いですが、このページを読んで「とりあえず転職活動してみるか…」となったのであればおススメなのはこちら。
転職エージェントのDODAです。志望動機や履歴書、職務経歴書の書き方についてのアドバイスをもらうこともできますので、転職活動に慣れていないのであればぜひ使ってみてください。
以上。パワハラ・モラハラを受けているかたの参考になれば幸いです。
「まだ仕事を辞めたい理由が解決できない!」という人はこちら